欧米では学校・財団が寄付をストック運用し、長期的な安定財源にすることは一般的だが、日本の教育機関等では、ストック運用で安定財源を得ている組織は極めて限定的であり、「自由な教育のための資金」が不足
日本初のすべての学校が活用可能なストック運用プラットフォームの社会実装に向けた、実現可能性や課題の明確化
課題の背景、構造
「教育機関における自由な教育のための資金確保」を実現するための調査の前提として、社会全体における課題の背景・構造として「1.財政構造上」「2.教育制度上」「3.教育機関の予算上」の3側面が挙げられることを特定。
現状の国内教育機関・教育支援機関の資産運用の状況
現状、日本国内では、大学においてさえも預金債券以外の運用を実施している教育機関は少数派であること、また、小中高校においては寄付募集、資産運用ともに低調であることを調査で確認。
国内教育機関等の資産運用が進まない原因分析
また、教育機関等における資産運用への取り組みが進んでいない背景としては、「1.投資体制が組めない中小教育機関」、「2.数十億円単位以上でないと対応が困難な金融機関」、「3.また社会的にも「寄付原資の運用」についての理解が醸成されていない」という3側面それぞれにおける原因を分析。
我が国における民間資金の可能性
また一方、民間資金における「前向きな動き」としては、「富裕層の社会貢献意識」、「遺贈寄付の増加」、「公益法人改革の動き、公益信託制度の緩和」など、外部環境の前向きな変化も確認。
中小規模機関等でも活用可能なスキームの検証
分析された、国内教育機関等の資産運用が進まない原因(原資が少なく、独自運用体制を組むことが困難な教育機関、一定の資産規模以上でないと対応が困難な金融機関)を克服し得るスキームとして、募集、運用成果、コスト視点から、「基金運用モデル」「Next Legacy運用型」など複数オプションを提示(※具体的なスキーム図は資料内ご参照)
結論のサマリー
調査の結果、教育機関等において資産運用の取り組みが進まない背景として、課題4点(要素の欠如)を特定し、それぞれに求められる施策と提言を明らかにした。
課題
課題4点(要素の欠如)として、1.資金原資、2.経営の意志、3.体制、経験、4.制度が特定され、克服には、「民間による仕組み作り」(個々の取り組み)と併せて、それぞれの施策推進に対する「官民連携の動きとしての政府による音頭取り」(お墨付き)が重要と分析。
施策
見えて来た課題を元に、教育機関における資産運用の取り組みを進めるために必要な施策テーマとして、「1.政策的誘導による雰囲気醸成」「2.初期の運用資金確保」「3.タイプ別の仕組みの必要性」「4.学習・知見共有コミュニティ」を特定。
政策・制度面における提言
また、民間主導による基金運用モデル構築等と並行して、官民連携によるファンドレイジング力向上施策や、政策的な誘導による「資産運用への取り組みが進みやすい環境整備」が重要であることから、具体的な「政策・制度面における提言」として4点でまとめた他、別途、教育機関等に対する寄付促進の観点で「税制面における課題と背景」としては、「みなし譲渡課税の緩和」「キャピタルゲイン課税の緩和」の2点を特定。
官民連携ロードマップ(3‐5年)
国内の教育機関における資産運用への取り組みを具体的に進めていくための官民連携ロードマップ(3‐5年)を、左記の通り「モデルの実装化」から始まり、「横展開・新たな仕組みの創出」を経て、「取り組みや成果の高度化」に至る4フェーズで設定できた。
| 実証事例名 | 学校独自の財源づくりのための資金調達・運用に関する調査事業(プロジェクト2) |
|---|---|
| 受託事業者名 | 日本ファンドレイジング協会 |
| 実証パートナー名 | 一般社団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ、フィノーカル株式会社 |
| 実証年度 | |
| 事業カテゴリー種別 | |
| 実証地域 | 全国 |
| 対象 | |
| 対象学年 | 初中等の他、高等も含めた教育機関における資産運用の取り組み実態と、すべての学校が活用可能なストック運用プラットフォームの仕組みの社会実装に向けた実現可能性や課題の調査 |
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