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新型コロナ感染症による学校休業対策「#学びを止めない未来の教室」

2020年07月27日 09:00 (3か月前)

【新渡戸文化中学校】EdTechを活用して自律的な学習者を育てる授業設計 ■取材日7月10日(金)

コロナ感染症の影響で、いつ学校が臨時休業になっても不思議ではない状況が続いています。「#学びを止めない未来の教室」では、臨時休業時に児童・生徒の学びを止めない工夫をされてきた教育委員会や学校の事例を今後もお届けし、児童・生徒の学習活動の支援を続けてまいります。

新渡戸文化中学校では、EdTechを活用して自律的な学習者を育てる授業設計をしています。新渡戸文化中学校の山本崇雄 先生にお話を伺いました。

―― 新渡戸文化中学校が休校期間の“学びを止めない”ために行っていた、EdTech/ICTを用いた教育活動を教えて下さい。

 学びを止めない活動の背景にある3つのポイントを最初に説明します。1つめは、「学びを止めない」の主語が生徒になっているかどうか。先生が「教えるのをやめない」というのでは、そもそも対面授業ができていたとしても子どもの学びは始まっていないと思います。オンラインとオフラインはシームレスです。「オンラインだから」「再登校できるから」というのではなく、オンラインとオフラインがシームレスにつながる授業デザインが必要だと思います。

 2つめは、オンラインだけでは、子どもたちがうまくできなかったり、ストレスに感じることがたくさんあることです。それに対して大人が寛容にならなければいけないと思います。「学校に来る/来ない」と、「オンライン授業に参加する/しない」を同じに見てしまうと、さまざまなストレスが子どもにかかってしまうかもしれませんので、そこに寛容である必要があります。

 3つめは、子どもたちを自律型にすることです。子どもに自由な時間があって、その時間をコントロールできるように育てなければなりません。自分でやってみようと思う余白を作らなければいけません。先生が指示をして、お膳たてをするという授業を続ける限り、子どもたちが選択する機会を奪っていることになります。オーガナイズされた授業であるほど、子どもたちは楽ですが、レールに乗っているというだけで、自分で考えたり判断しているということはしていません。他律的になってしまっています。他律的だと、授業がおもしろくなければ「先生のせい」や「学校のせい」や「世の中のせい」にして、文句ばかり言うようになってしまいます。すでに世の中がそうなってしまっていて、今回のコロナのことでも、大人も学校も指示待ち状態になってしまっています。教員も、当事者としていまを生きる子どもたちと対等なパートナーとして意思決定をしていかなくてはなりません。休校措置についても、決めたことについて文句を言うのではなく、当事者として、コロナの時期に学校がどうあるべきかを対等に対話していく子どもたちを育てたいと思っています。

 EdTechで言うと、英語の授業でPadlet( https://ja.padlet.com/ )を使って、自己紹介をしています。いろいろなレベルの子がいますが、自分が作った自己紹介を星の数で自分で採点します。生徒たち一人ひとりが自己評価をしていきます。最初の自己紹介を星3つにしていて、2回めで1回めから成長が感じられたら、星を増やすようにしています。

 それぞれの個人内評価に関しては、今まで学校はわりと手をつけていませんでした。テストの得点を見て、一律に評価をしてきました。でもEdTechを使うことで、この自己紹介のように前の自分と比較することができるようになります。

 さらに他の生徒の自己紹介を自由に見ることができますので、子ども同士で学び合っていくようになります。評価すべきものが先生のところに提出されると、自分の前に出した提出物を見られない、これまでの環境ではできなかった学びです。そして、自分の作品が蓄積して、デジタルのポートフォリオにもなるのです。

 また、こうした学び方だと、自分の作品を常にアップデートすることができます。「自己紹介のところだけ撮り直しました」と言って、再度提出することもできます。

 先日、「相手が幸せになる英語」という授業をしました。その人が幸せになる言葉を、英語で書いてもらうのですが、「I like …」などの簡単な表現から、「make+人+形容詞」の文型や接続詞whenなどを使うようになっていきます。文法的なところは直しません。どんどん書き続けることが大切です。他の友達の作品を見ることでも、気づきが生まれます。気づいて、また自分の英語をアップデートしようと考える子が出てきます。

 オンラインとEdTechの力を借りて、お互いの作品や努力が見えるようになるのが素晴らしいと思います。大事なのは寛容になるということ、できる/できないで比べるのではなく、その子のなかで成長しているかを見ていくということ。できない自分をさらけ出せる場を作る。それが弱者に対する寛容さを生むと思っています。

 これは、教育観につながる問題であり、また、社会そのものだと思います。比較することによって不幸になってしまう。幸せの価値というのは人それぞれであって、あるところで比較して「自分は不幸だ」と思うのではなく、自分の価値観として何を大切に生きていくか、が大切です。いまできていないこと、いまの自分に欠けている部分を、「可能性」だと考えてもらいたいと思っています。

 

―― やってみての子どもたち、保護者様の反応を教えて下さい。

 子どもたちはコロナウイルスへの恐怖があるので、オンライン授業を安心安全に受けられるというのがいちばんのいいところだと思います。これは保護者にとっても同様です。

 オンライン授業については、親も成長しなくてはならないと思っています。子どもが自由な時間にYouTubeを見てしまうのは当たり前で、健全なことです。でも、学校のオンライン授業ではしっかりやっているというので十分だと思うんです。親は自分が持っている、子どもとは違う価値観からいろいろ言いたくなってしまいます。それが子どもを追い詰めていると思います。

 対話をしたり、温度を感じたりというのは、オンラインではできません。そこを使い分けたいと思います。コア的な学習はオンラインでも十分で、よりモチベーションを上げるために対面授業を利用していきます。オンラインとオフラインがお互いを加速していくような形です。これを別々にデザインをしていくと、ダブルスタンダードになってしまいます。

 そもそも世の中がオンラインとオフラインがシームレスになってきています。リアルがそうなんだから、どちらかの世界だけでは幸せにはなりません。学校の中で、安心安全にその両者をつなぐ体験をして、良さも悪さもちゃんと理解してもらう必要があると思っています。

 

―― これから実施する学校に向けて、ポイントがあれば教えて下さい。

 「自律させる」ということだと思います。学びの当事者として、自分で判断できるようになる授業デザインを常日頃やっていく必要があります。

 たとえ日本のインターネットのシステムがダウンしても、学ぶツールを手に入れて、自分で学び続けられるようになっていればいいと思います。「インターネットがないから勉強しない」「学校がないから勉強しない」「課題が出ているから勉強する」というのではなく、学びの当事者として学べる子を育てる必要があります。

 オンライン授業を成功させるためには、登校期間中に子どもたちを自律させて、自分たちで選択する経験をしてもらう必要があります。

 勉強しない権利も子どもたちにはあります、ただ、結果には責任をとりましょう、ということを理解してもらうことです。学ぶ機会があるのに、自分の意志でそれを失っていれば、自分で責任をとらなくてはなりません。それは社会も同じです。子どもたちには、「自分の人生だからね」「人生は能力ではなく、意志で作られる」「自分がどうしたいか、で人生は作られる」と言い続けて信じています。


執筆者:為田裕行(ためだひろゆき)
フューチャーインスティテュート株式会社 代表取締役、教育ICTリサーチ(https://blog.ict-in-education.jp)主宰。学校向けの教育コンサルテーション、教育テレビ番組や教材、サービスなどの教育監修を行っている。一般社団法人ICT CONNECT 21( https://ictconnect21.jp/ )にてEdTech推進SWGサブリーダーを務める。


■新渡戸文化中学校 学校説明会一覧

自律した学習者として、社会でどのような変化があっても幸せに生きられる生徒の育成に力を入れる新渡戸文化中学校。2020年8月以降の学校説明会日程は下記でご覧いただけます。
https://www.el.nitobebunka.ac.jp/info/2020/07/7178/

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