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新型コロナ感染症による学校休業対策「#学びを止めない未来の教室」

2020年07月30日 09:00 (6か月前)

【新渡戸文化小学校】誰でもアクセスできるGoogleサイトでオンラインスクールを開設 ■取材日7月9日(木)

 コロナ感染症の影響で、いつ学校が臨時休業になっても不思議ではない状況が続いています。「#学びを止めない未来の教室」では、臨時休業時に児童・生徒の学びを止めない工夫をされてきた教育委員会や学校の事例を今後もお届けし、児童・生徒の学習活動の支援を続けてまいります。

 新渡戸文化小学校では、誰でもアクセスできるGoogleサイトでオンラインスクールを開設していました。新渡戸文化小学校の遠藤崇之 先生にお話を伺いました。

――新渡戸文化小学校が休校期間の“学びを止めない”ために行っていた、EdTech/ICTを用いた教育活動を教えて下さい。

 4月の新学期当初から、いわゆる学校のホームページではなくこの期間のために作った特設ホームページからの発信と、Zoom朝の会を行っていました。これは、学校側から情報を発信する「プッシュ型」と情報を取りに来てもらう「プル型」を組み合わせたものです。

 3月30日に、ICTでできることを知ってもらうために、小中高の全教員向けにICT研修を実施し、4月8日には、Googleサイトを使って「新渡戸オンラインスクール」を開設し、学校からのメッセージや各学年の先生方の紹介などをスタートしました。家庭学習のための課題の配信では、ドリル的なものばかりでなく、ワクワクするような課題を発達段階に応じて自分で選び取れるような課題を配信しました。

 4月当初に必要だと考えていた教育的要件は「子どもの安心安全」でした。そのうえで、広く多くの子ども・家庭とつながることを重視しました。そのため、Googleアカウントは一人1ID持たせる予定でいましたが、まだ操作説明もできていなかったため、各家庭でログインが大変だろう、という判断でログインせずにだれでも見られる設定で公開しました。

 Googleサイトの存在を知ったのは4月4日で、それから研修をし、新渡戸オンラインスクール初公開が4月8日ですので、スピード重視でまずは子どもたちとつながろう、という動きでした。

 その後、課題の配信をスタートし、課題の出し方などの研究へと進んでいきました。本校は、「自律型学習者の育成」というのを教育目標にしています。自分で判断して、自分で学ぶ。学ぶ内容も自分で判断してほしいので、プッシュ型もプル型もあり、それを自分たちで選ぶことができるようにしました。

新渡戸オンラインスクール

 新渡戸オンラインスクールを始めた時点ではZoomをやるべきかは議論をしていましたが、Googleフォームを使って情報機器調査をしたところ、8割~9割の家庭でZoomの活用ができそうだったので、翌週4月14日から「新渡戸オンラインひろば」をZoomでたちあげました。これで、子どもたちと顔を合わせる安心安全の場を作ることができました。

 機器やネット環境などの物理的な部分と、ICTリテラシーの部分で家庭がついてこれるかを確認しながらやっていきました。「やりたくない」「やれない」という家庭については電話など個別フォローする方針で、進めていきました。

――新渡戸オンラインスクールではどんなコンテンツを配信していましたか。

 新渡戸オンラインスクールでは、「個人情報は載せない」「学校の内情がわかるような情報もなるべく載せない」という方針で情報を発信していました。また、保護者に向けての注意なども掲載していました。

 学年の先生からのメッセージでは、先生の顔が見えるようにし、動画で学年ごとに作っていきました。課題の配信でも先生からのメッセージでも、どういう形でやるのがいちばん子どもたちが迷わずにできるか、わかりやすいか、ということを考えていました。

 オンライン授業は国語と算数を基本に、課題とオンライン授業で1週間のサイクルを作って、学びを進めていくという形式で行っていました。

 毎週金曜日に課題をオンラインで配信して、自分で課題に取り組みます。火曜日と木曜日の週2回あるオンライン授業で内容をみんなで共有し深めて、最後に自分でも深めてから、週末に提出する、というサイクルです。

 そうしたオンライン授業とは別に、「この時期だからできることを考えよう」と、世界一受けたいオンライン特別授業(通称「セカイイチオンライン」)も午後に開講していました。実際の社会で活躍している方々を講師に招いて、「どうしてその仕事をしているのか」「どういうところがおもしろいのか」ということを、先生がファシリテーションをしてZoomで語ってもらいました。

 セカイイチオンラインの授業は自由参加でしたが、全校児童351人中、多いときには60人くらい、平均でも30~40人が参加していました。

先生がファシリテーションをしてZoomで語ってもらいました。

――やってみての子どもたち、保護者様の反応を教えて下さい。

 多くの家庭からは「進めてくれてありがとうございます」という声を聞いています。時代の要請だな、と理解してもらえていると思います。

 友達とつながれた、ということに4月当初は感謝の声が多かったです。あのときは休校が続いていて、友達と繋がれたのがありがたかったのだと思います。

 他には、「生活のリズムが整うのがありがたい」「勉強を通して先生や友達と繋がれてよかった」などの声がありました。

 本校では、共働き家庭が多いので、保護者の皆様は大変だったと思います。各家庭のご協力に感謝しています。

――子どもたちが登校するようになって、以前の形に戻っていくのでしょうか?

 小学校については、6月8日から順次登校を始めましたが、週に1日の分散登校でした。6月29日から完全再開となりました。分散登校になっても、授業は進めませんでした。Zoom授業に関しても、全員出席とは言っていません。

 登校日は、授業はやらないで、会えなかった時間を埋めるための活動をしました。自律型学習者を育てるために対話を重要視しているので、サークル対話をしています。

 オンライン学習日は、時間割にしたがって授業をしています。ペーパーレス化をめざしたいので連絡をすべてオンラインでやっている学年もあります。オンラインを単なる連絡掲示板にはしたくない。これがウィズコロナ時代の学びになる、と思っています。オンラインとのハイブリッドにしていくことを考えていきたいと思います。

 以前の形に戻らせないために、というわけではないですが、EdTechの活用も実現していきます。例えば、個別最適化をしていくために、Qubenaを使っていこうと思っています。どう入れるか、どういうやり方があるか、については研究していきたいです。

 もうひとつ、いつ「オンラインオンリー」に戻ってもいいように、iPadオンリーの状況を作っていきます。iPadはガレージバンドやClipsのように、表現や発信ができる手助けをしてくれるツールなので、全教科にそれを混ぜていきたいと思っています。そうすることで、鉛筆とノートだけでなく、映像や音声なども含めて、学習にクリエイションの要素を入れることで、従来よりも学習の定着が図れるとも思っています。

――これから実施する学校に向けて、ポイントがあれば教えて下さい。

 全員平等というのが公立の学校だとフォーカスされますが、その結果前に進めないというケースがあると思います。そこが足かせになってしまうと、本当に動けなくなってしまいます。例えば、無料でかつ99%の人たちが使える、Googleサイトのようなサービスもあるので、1%のためにブレーキを踏むのはもったいないと思います。ただ、この1%を見捨てるのではなくて、必ず代替案があるので、それを用意することだと思います。新渡戸オンラインスクールでは、Googleサイトを使いましたが、電話でのフォローも用意していました。

 また、使うテクノロジーによっても違います。例えば、Zoomだと「使い方がわからない」という保護者は1%より多くなったと思います。最初は誰でも見られるGoogleサイトを使ったホームページ配信ならば、「使い方がわからない」という1%をより少なくすることが可能だと思います。

 ICTを活用するときに限らず、「知っていること」は、心の中のハードルを下げることになります。今回の新渡戸オンラインスクールも、土曜日に職員室でたまたま同僚の先生にGoogleサイトを紹介されたのがきっかけでしたが、話を聞くだけでやらないという道もありました。「知っている」ということは大事だと思います。「知っている」ことで心の中のハードルが下がって、やってみようと前に進みやすくなります。この心の中のハードルを下げる準備というのは、これまで本校が学校としていろいろとしてきた準備が活きたということだと思います。

 


執筆者:為田裕行(ためだひろゆき)
フューチャーインスティテュート株式会社 代表取締役、教育ICTリサーチ(https://blog.ict-in-education.jp)主宰。学校向けの教育コンサルテーション、教育テレビ番組や教材、サービスなどの教育監修を行っている。一般社団法人ICT CONNECT 21( https://ictconnect21.jp/ )にてEdTech推進SWGサブリーダーを務める。


■新渡戸文化小学校 学校説明会

自律した学習者として、社会でどのような変化があっても幸せに生きられる生徒の育成に力を入れる新渡戸文化小学校。

学校説明会の日程は下記よりご確認いただけます
https://www.el.nitobebunka.ac.jp/category/briefing/

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