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新型コロナ感染症による学校休業対策「#学びを止めない未来の教室」

2020年06月11日 13:00 (4か月前)

【未来の教室 オンラインキャラバン】キックオフDay ■開催日6月5日(金)

2020年6月5日(金)、「未来の教室 オンラインキャラバンキックオフDay」( https://miraicaravan.peatix.com/ )が開催されました。新しい学びにつながる事例を共有しながら、実践者、専門家、参加者によるディスカッションでEdTechの可能性や課題を整理する場です。

キックオフDayでは、パネリストとして、熊本市、奈良県・奈良市の教育委員会関係者にご登壇いただきました。本記事では、このイベントで事例紹介をした熊本市の取り組みをご紹介します。熊本市教育委員会 遠藤洋路教育長、熊本大学教職員大学院前田康裕准教授、熊本市教育センター 本田裕紀副所長が、これまでのICT整備と新型コロナ休校の対策、今後の展望について語りました。なお、奈良県・奈良市の事例につきましては、本サイトにてご紹介済み( https://www.learning-innovation.go.jp/covid_19/case20200505/ )ですので、こちらもあわせてご参考になれば幸いです。

 

 

▼オンライン授業をすぐに開始した熊本市の工夫

熊本市では2018年からICT整備を進め、セルラーモデルのiPadを導入してきました。2019年に市内全小学校92校での運用をスタートし、2020年には全中学校42校での運用が始まるという段階で3月の休校に直面します。iPadを整備できていた台数は3人に1台という規模だったため、3月の休校時は一部の学年でオンライン授業を実施しましたが、4月の新学期に全ての学年で実施するにあたっては、家庭のデバイスとインターネット環境を活用してもらう方針を決めます。およそ3分の1の家庭には十分な環境がなかったため、家庭には学校整備のiPadを貸し出すことで対応しました。

全国には、1人でも環境がなかったらオンライン授業は行えないという対応をする自治体もあるという声をふまえ、遠藤教育長は「熊本市では逆に、できるところからやる。出来ないところをサポートするのが行政である私たちの仕事だと考えています」とその立場を示します。

小学校でのiPad活用実績があったとはいえ、中学校での活用経験はなく、学校と家庭をつなぐオンライン授業は誰にとっても初めてのことです。そこで、熊本市ではオンライン授業のステップを5段階で明示しました。オンライン授業の定義やイメージを共有してスモールステップで取り組めるようにしたのです。短期間ながら、教員研修や、登校日を利用した児童生徒への説明などを行い、4月15日には小中学校全学年でのオンライン授業(小学校1、2年生は保護者との連絡)をスタートさせます。

オンライン授業のステップや授業モデル、また、ロイロノートやzoomなどの各種ツールの使い方は、熊本市教育センターのホームページで資料として公開しています。また、教育センターのYouTubeチャンネルを開設して動画でも解説し、教員はもちろんのこと、保護者や子どもが直接見られるようにして、各学校の取り組みを支えています。

 

▼先生が『教えたい』授業を子どもが『学びたい』授業へ

熊本市は、今回休校中の代替手段としてのみICTを捉えているわけではなく、元々授業改善のためにICT活用を進めてきた経緯があります。「先生が教える授業」を「子どもが主体的に学ぶ授業」に変えるという問題意識を明確にし、ICTを活用して子ども達のアウトプットや学び合いに積極的に活用するよう推進してきました。各種研修を行い、各校には推進チームを設け、指導主事やICT支援員が直接バックアップする体制を作っています。

教育センター 本田副所長は、「ICT活用の根底には、先生方の『教えたい』という授業を子ども達主体の『学びたい』という授業へ変えていくということがあるので、オンラインもリアルの授業も同じように授業改善の支援をしていきたい」と話します。

  

▼ビジョンの共有が推進の核に

熊本市では、学校でのICT活用の推進を産官学の連携で行っており、モデルカリキュラム開発や教員研修の監修を熊本大学が担っています。熊本大学の前田准教授は、学校でICT活用をする際の課題のひとつとして、これまでの教育観のまま情報機器を使うことをあげました。知識・技能の伝達が中心の教育観では、タブレット端末の使いどころが限られてしまい、機器を使うこと自体が目的化しやすいと指摘します。授業づくりの視点を変え、自律的な学習、探求的・創造的な学習の教育観に基づいて学びを組み立てれば、様々な場面でタブレット端末が活躍することを示しました。

こうした分析に支えられ、先に示した熊本市のICT活用の方向性が定まっていることがわかります。ICTの活用に常に「授業改善」というビジョンが共有されていることが、市全体でICT活用を推進する際の重要な核となっているわけです。

 

逆に言えば、ICT機器があっても知識・技能の伝達のためだけに使うのでは、その力を発揮しきれないということになるでしょう。遠藤教育長は、休校中のオンライン授業においても日頃の授業観が反映されたと指摘します。小学校高学年はスモールステップの5段階目「学び合い・発表」まで実施できた学校の割合が高いのに対し、中学校ではステップ3の「課題提出」にとどまった学校の割合が高かったのです。ここから、中学校では日頃から子どもの学び合いが行えていないことが見えてきたといいます。

授業のあり方の見直しや、新たな学びの設計と共にあってこそICT活用が生きるということは、他の多くの自治体、学校の参考になるでしょう。

 

▼オンライン授業には不登校の子ども達も参加できた

オンライン授業を実施して見えたこととして遠藤教育長が真っ先にあげたのは、日頃不登校だった子ども達がオンライン授業にはかなり参加できたということです。さらに、学校再開時に登校できた子どももいました。もともと中学校では5%くらいの不登校の子ども達がいるところ、小学校で99%、中学校で98%の出席率でスタートしているとのことです。

遠藤教育長は、今後、登校できない子どもが家でも変わらずに授業が受けられるような仕組みを作ることも検討していて、不登校や欠席という概念自体がが変わることを示唆しました。当面授業をライブ配信することで代替するような対策をとるとしても、いずれオンライン専用のカリキュラムを作り「熊本市立オンライン小学校、オンライン中学校を作りたい」とその大きな構想を掲げます。

また、GIGAスクール構想( https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_00001.htm )にのっとった、1人1台のiPadの整備も進行中で、遅くとも2021年2月までには実現させる予定です。熊本市では、このオンライン授業の経験を経て、新たな1人1台体制に向かってさらにICT活用が深まっていくでしょう。

オンライン授業の実施を経てわかったことは他にも様々な視点から上がり、他のパネリストからの話も交えてさらに話が深まりました。本イベントのディスカッション部分については、改めて別の記事でご紹介する予定です。

 


執筆者:狩野さやか(かのうさやか)
株式会社Studio947(https://studio947.net )のライター、デザイナー。技術書籍や記事の執筆、ウェブデザインに携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」( https://ict-toolbox.com )を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。

■ GIGAスクール構想の情報は「GIGA HUB WEB」で

2018年から「未来の教室」プロジェクトに伴走している一般社団法人ICT CONNECT 21( https://ictconnect21.jp/ )は、GIGAスクール構想についての情報をまとめたサイト「GIGA HUB WEB」を5月27日に公開しました。各自治体の取組状況がわかります。

「GIGA HUB WEB」はこちらからご覧ください。
https://giga.ictconnect21.jp/

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