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EdTechサービス導入事例
【土佐塾中学・高等学校】
 ライブ授業・課題配信・動画配信を組み合わせ、適切な学びをデザイン
インタビュー

2月末の突然の休校要請以降、多くの学校では2〜3ヶ月間生徒が登校できない期間が続きました。その後、ほとんどの学校が再開しましたが、新型コロナウイルス感染症で再び臨時休業となっている学校もあります。

高知県にある土佐塾中学・高等学校では、3月から5月までの休校期間中、「学びを止めない」ためにさまざまな取り組みを展開されてきました。「1人1台環境」を活用し、具体的にどのような取り組みを行われたのか、英語科の藤澤先生、スティーブン先生、数学科の水野先生、竹内先生にお話を伺いました。

ー休校期間中、「学びを止めない」ために行った、EdTech/ICTを用いた教育活動を教えてください。

藤澤先生:本校では3月に入ってすぐに休校となりました。私が担当していた中学2年生の英語では、実施できなくなってしまった学年末考査などを配信しました。このときは、まだ「休校」と呼んでいて、時間割に沿ったものはほぼなく、各教科の先生がバラバラに動画配信や課題配信に取り組んでいましたね。

その後、4月13日からは、それまでの「休校」に対して「登校停止期間」と名前が変わり、時間割をきちんと組み、それに沿って学習を行っていくかたちになりました。「ずっと画面を見続けていることがしんどい」という生徒の声もありましたし、通信データ容量の問題もありましたので、各教科がライブ授業、課題配信、動画配信を組み合わせて、どのように学習をデザインをするのが適切なのかを学年で話し合い、時間割を作りました。結果的に5月30日まで登校停止期間は続きました。

この時間割の通り、中学3年生は英語と数学が毎日あり、その中でライブ授業も行いました。普段やっていることのエッセンスは抜き出しながらも、この状況下でそのエッセンスをどのように再構築できるか、非常に知恵を絞ったなという気がします。

学びを設計する上で意識したことは、教室という物理的な枠組みと時間の概念を取り払うことです。例えば、普段だったら40人ずつのクラスですが、教室の物理的制約がなくなったので、「2クラス分80人で一緒に授業ができるね」という話になり、80人をひとつのオンライン会議ルームに入れて、ペアティーチング、チームティーチングという形で4人の先生がここに入るようにしました。登校停止期間が終わった後もスムーズに授業を行えるように、みんなで一緒にやるのを試してみたのです。

この取り組みは非常に良かったです。これまでの授業は、英語の教科書を読んで、読む練習をして、内容を理解して、最後に暗唱まで行うというスタイルだったのですが、本文の解説などはオンラインのライブ授業で十分できることがわかりました。また、読む練習についても、生徒の周りには雑音がないためか、集中できて、意外とスムーズに行えましたね。

また、今まで授業というのは「管理しなければいけない時間」だったのですが、その点も改めました。「暗唱が終わった生徒は、もうそこで終了」としたり、ライブ授業も1時間見続けるのはしんどいので、大切なところの説明が終わったら課題を配信して終わりにしました。繰り返しになりますが、ライブ授業、課題配信、動画配信をいかに組み合わせるかが重要でしたね。

スティーブン先生:僕はいつもの授業を踏襲するのではなく、授業をゼロから考え直しました。新しいことをやってみないといけないと感じていましたし、すごく良いチャンスだと思い、失敗しても、いろいろやってみたかったのです。

僕は中学1年生の英語を担当していますが、生徒たちにはまだ会ったことがなく、担任の先生が一回会っただけの状態なので、空気が面白かったです。誰もどうなるか想像できなかったので難しかったですが、非常に面白かったです。

英語は生徒自身が主体的に参加しないとあまり学べません。発音なども自分でやってみないと身につかないので、どうやったらインタラクティブ(相互作用)なライブ配信ができるか、試行錯誤しました。たまには、チャットに「みんなはどっちが好きですか?」とか、「趣味は何ですか?はい、チャットに書いてください」とか、質問を書いて投げかけたりもしましたね。そういうことをいっぱいやって、できるだけ楽しい授業を作りました。あとは、学校であまりできないことをやるチャンスだと思って、アメリカにいる自分の両親とビデオを繋いで、授業をやってみたりしましたね。いっぱい面白い動画も作りました。リスニングの課題として、GoogleフォームにオリジナルのYouTube動画を埋め込んだものを用意したこともあります。

水野先生:数学科も、当初は課題配信が中心でした。高校2年生の数学は、教科の特性上、課題を配信して自分で学習するということだけでは知識習得が難しいので、どうしてもどこかでオンライン授業をしようと試行錯誤していました。例えば動画を撮影しておいて、「授業の時間になったら見るように」とアナウンスをする。それにあわせて、普段の時間割を学年によっては簡略化したり、変更したりしながら、生徒が学校に来ていなくても時間割通りに授業を受けられるように取り組みました。他には、Zoomによるライブ授業で、PDF化した教科書や授業プリントを画面上で共有して、リアルタイムで式や図を書き込んだりするなど、言葉で説明しながら視覚的にも情報が伝わるように工夫をしました。授業と演習をタイミングよく切り替えるなどして生徒の集中力が持続する授業を構成したことや、演習の時間に生徒が家にいながらでも友達同士で教え合いができるよう、ZoomやMeetの使い方を最初にレクチャーしたことも効果が大きかったと感じます。

年度の切り替え時は学習内容が1段階あがります。高校2年生にとっては、理系の生徒が数ⅡBから新しく数Ⅲへと入る大切な時期でした。通常であれば、教科書や問題集は事前に購入しておいてもらうのですが、中には、コロナの影響で外に行くことを躊躇って、購入できていない生徒がいました。問題集についてはリブリーを使ってタブレット上で扱えるようにしていたので、その点は救われました。学校や本屋に教材を受け取りに行けなった生徒も含め、全員が同じ教材を持っているので、それを小テストや授業で扱いながら教えられたと思います。

タブレットで教材が見られるというのは生徒にとって扱いやすいみたいでよかったです。生徒は世代が若く、スマートフォンやタブレットの操作に慣れているので、自分たちで写真を撮って書き込んだり、友人と問題を送りあったり、総合的にコミュニケーションが取れていたと思います。

竹内先生:自分は動画制作を主にやっていました。あとはMeetなどのオンライン会議システムを使い、個別に添削などを行いました。「学びを止めない」ための取り組みのなかで、オンラインに不慣れな先生が始めやすいのは動画配信だと思います。

動画制作は準備も少なく、書いて説明する様子を、台の上からスマートフォンなどで撮るだけでよいので、用意するものが少ないです。撮り直しができるところも安心です。また、動画配信だと、生徒の時間を縛らなくていよいところもよいですね。通信エラーがあっても後から見直すことができます。

―やってみての子どもたち、保護者様の反応を教えて下さい。

藤澤先生:先日、中学3年生の英語は中間試験を実施しました。登校停止期間が明けて1週間だったのですが、成績はほぼ変わらないか、むしろ少し上がっていましたね。これには僕も驚いています。

学習習慣があまり身についていなかった生徒のなかで、今回の登校停止がよい意味での焦りにつながったようです。今まであまり勉強しなかった生徒が、3カ月間ひとりで家にいると、友達の宿題を写すこともできないし、自分で勉強するようになり、今までと比べて20点くらい高い点を取るというケースもありました。

僕らも本当に不安でしたが、登校しないから勉強しなくなった、あるいは、学力が下がったというわけではなく、「勉強は自分でやらなきゃいけない」という意識に結びついた生徒は、しっかり学習を進めることができた。この点は非常に興味深く、教員として考えさせられるところが多かったです。

竹内先生:YouTubeで授業動画を見た後に、コメント欄に授業の感想と数学的に分からなかったことを書いてもらうようにしました。「見返せるから便利」とか「一回止めてちょっと戻れるから便利」といったポジティブな意見がある一方で、「自分で頑張らないといけないから、動画だけだとちょっと怠けてしまう」という声もありました。

その後、学校での授業や中間テストがあった上で生徒から話を聞いたところ、「いつもより、できているかどうかが分かりにくいから、登校停止期間中に確認テストなどをもっと実施してほしかった」という意見も聞きました。まだまだ工夫の余地があります。

藤澤先生:先日、生徒にアンケートをしました。「どの授業形式が一番充実していたか」という質問に対しての集計結果はこちらのとおりです。これを見ると、ライブ配信が最も充実していたと感じた生徒が多かったです。今までの授業と変わらないので、そう感じた生徒が一定数いるのは当然かなと思います。逆に、動画配信でも約35%の生徒が、課題配信でも20%の生徒が最も充実していると回答しています。これはなかなか面白い数字だと思いますね。

中身の満足度については、5段階で評価してもらいました。グラフの右のほうが満足度が高いのですが、ご覧のとおり「満足している」と感じている生徒が多かったようですね。先日、生徒と面談したところ、「全然問題ないです」という声がすごく多かったのも印象的でした。時間割によって生活リズムが崩れなかったので、保護者からもポジティブに捉えていただきました。

―今後、実施される学校に向けて、アドバイスをお願いします。

水野先生:情報共有ができる仕組み、教員間の協力体制がないと、オンラインを続けるのは難しいと感じました。成績が上がった生徒がいる一方で、成績が落ちた生徒もいるので、個人にあったアプローチを学校全体で協力して実践していかなくてはなりません。些細なことがきっかけでうまく噛み合うこともあります。例えば朝の小テストが目覚ましになって、生活リズムが整い、他科目の授業も集中できるようになった、という事例もありました。小さなことでも助け合いになりうると思います。

藤澤先生:これまでと同じことをしようとしない、ということが重要だと思います。これまでやっていたこととは違うのが当然で、いろんなやり方があっていい。この状況でできることを考えて実践するのが大事だと思います。


スティーブン先生:この残念な状況を、学校がもっと良くなるきっかけにしないともったいないと思います。「休校が終わってよかった。いつも通りに戻しましょう」にならないように。みんなそれぞれいろんな学び方があるので、それを認めて、それを活かしていきたいし、活かしてほしいと思います。あとは、ICTの使い方をみんなで学ぶ環境があるといいですね。


竹内先生:やってみると、オンラインは案外始めやすいものだと思います。そんなに難しいことだと考える必要はないです。オンラインの良いところは当然たくさんありますが、普段の授業の良いところもあります。気後れせずに、とりあえずやってみてほしいです。入り口はなんでもよく、やってみればいろいろと見えてきます。最初のハードルで気後れしている先生がいるなら、大丈夫だと伝えたいです。

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