経済産業省|METI

越境学習による
VUCA時代の企業人材育成

経済産業省「未来の教室」事業
社会課題の現場への越境プログラム

いま、日本の企業に起きている課題

いま、日本の企業に起きている課題

新型コロナウイルス感染拡大によって、私たちはまさに「VUCA」(※1)の時代に生きていることを実感することとなりました。様々な環境変化が急激に訪れるポストコロナを目前にして、日本産業界は多くの課題に直面しています。

正解の無い中で自ら課題を発見して解をつくり出し、事業を創造・変革していくことが求められます。イノベーションに必要な、従来のビジネスを深化させつつ、その延長線上ではない新たな事業の探索も行う「両利きの経営」を、どうしたら実現できるのでしょうか。

不確実な時代においては一人一人の「キャリア自律」が求められます。一方で、将来有望と思われる人材が辞めていくことに多くの企業が悩まされています。社員のキャリア自律を促すと同時に、人が辞めない組織づくりをどのように実現していけば良いのでしょうか。

これらの企業が直面する課題に対する一つの解として、経済産業省「未来の教室」事業では、変革を起こす覚悟と自分自身の軸、意思決定力を持った企業リーダーを育成するリカレント教育プログラムの開発・実証を行ってきました。


(※1)VUCAとはVolatility (変動性)・Uncertainty (不確実)・Complexity (複雑性)・Ambiguity (曖昧性) が飛躍的に高まった状況を示す言葉。

社会課題の現場への越境がもたらす
イノベーションと人材育成

社会課題の現場への越境がもたらすイノベーションと人材育成

経済産業省では、社会課題に取り組む地方やNPOの現場に赴き、現実の社会課題解決に取り組むことで人材が育成されるという仮説のもと、実証事業を2年間実施してきました(※2)。プログラム参加者は、日常の職場とは異なる環境に身を置いて活動することで、自分自身の軸を再発見し、不確実で変化の激しい時代を切り拓くリーダーとしての成長を実感することができました。

これは、ここ数年間にわたって日本企業における人材育成の手法として注目を集めている「越境学習」の効果であると言えます。越境学習とは、ビジネスパーソンが所属する組織の枠を越え(“越境”して)学ぶことであり、「知の探索」によるイノベーションや、自己の価値観や想いを再確認する内省の効果が期待されています(※3)


(※2) 経済産業省「未来の教室」実証事業 
https://www.learning-innovation.go.jp/

(※3) 法政大学大学院の石山 恒貴教授は、越境学習を「自分にとってのホームとアウェイを行き来することによる学び」と定義している。

重要な要素は、
「社会課題の現場」と「摩擦」と
「多様なステークホルダー」

社会課題の現場

ビジネスパーソンにとって日々のビジネスの現場を離れ、社会課題に取り組む地方やNPOの現場に越境することで、異なる価値観やスピード感等の非日常体験を得られる。

摩擦

社会課題の現場に対して価値提供をしようとする際に「摩擦」が生じ、課題設定や自分の価値観を問い直す内省が促進される。摩擦は、社会課題の現場の人々や他の受講者とのぶつかり合い、伴走者からの問いかけ、自分の中での葛藤によって生じ、この過程を経ることで自分自身の軸を明確にすることができる。

多様なステークホルダー

良質な越境学習の場としての社会課題の現場には、課題に取り組むリーダーや伴走者が存在する。これらの多様なステークホルダーの情熱に触れることで志が磨かれる。



 

経済産業省からのメッセージ

雇用の流動性や働き方改革が進み、同時に第4次産業革命やグローバル化も進行する産業構造の中で、大人が一生学び続けて自分を磨き続ける「リカレント教育」の重要性が増しています。 一方で、企業研修に代表される「リカレント教育」の中身は、昔ながらの学校教育を引きずった「座学講義型」「知識習得型」の研修がまだ目立ちます。しかし、そうした学びは、もはや有名講師の語りのMOOCs(ムークス:講義動画集)をスマホで観れば事足りる時代です。

むしろ、そうしたMOOCsで必要な知識を仕入れながら、普段の自分のお得意様や同じ会社の上司や同僚との付き合いからはみ出して、新しいビジネスの種になるかもしれない様々な社会課題の現場に向き合ってみたり、お得意様が求める新しいニーズを一緒に叶えるアライアンス先を探し当てたりする、「越境学習」の機会は足りているでしょうか。 そもそも、自分がビジネスという手段を使って、様々な社会課題を解決する当事者となり、変化を起こす内発的動機をもつための仕掛け(原体験)は十分でしょうか。

経済産業省「未来の教室」プロジェクトでは2018年より、様々な業種の企業人が集まり、ホンモノの社会課題に触れ、課題発見・解決に挑む経験の中で、「チェンジ・メイカー」として成長するきっかけを提供する新しい企業研修・リカレント教育プログラムを創出・実証してきました。 このサイトは、プログラム提供事業者のみなさんで、新しい学びを世に問うて行くためのサイトです。世の中の「大人の研修・学びの常識」が変わり、ひとりでも多くの方が、課題解決型のチェンジ・メーカーへの道を踏み出す機会が広がり、再び日本企業からたくさんのイノベーションが生まれるようになる一助になることを願っています。

(兼)教育産業室長 浅野大介氏

経済産業省
商務・サービスグループ
サービス政策課長
(兼)教育産業室長

浅野大介氏



 


導入事例紹介

「越境」 で自分を変え、会社を変える
不確実で変化の激しい時代において、どのようにイノベーションをもたらす人材を育てていくのか――。

NECマネジメントパートナー株式会社

逢坂 浩一郎 様

詳細を見る


越境学習の意義は「主体的な気づき」にある
変革を望まない企業はない――。 研修すら変えることができないと会社は変わらない。


花王グループカスタマーマーケティング株式会社

佐賀 幸二郎 様

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モデルプログラム

社会課題の現場への越境学習を取り入れたモデルプログラムをご紹介します。

テレビ会議システムを活用した「リモートワーク環境下での越境プログラム」も提供しています。

(詳細については「詳しく見る」ボタンより、各事業者の「詳細Webサイト」から直接お問い合わせください)

対象:若手 / 中堅層
留職プログラム

目的/効果

リーダーシップ育成

期 間

3-12ヶ月程度

説 明

ビジネスパーソンが新興国のNPOや社会的企業に飛び込み、現地の社会課題の解決に挑むプログラム。参加者は普段とは異なる環境に飛び込み、志の高い現地のリーダーと課題解決に取り組みます。その過程では自ら解決策を模索し、周囲を巻き込んで困難を乗り越えることが求められます。こうしたタフな環境での原体験を通じてリーダーシップを磨いていきます。これまで新興国を舞台にプログラムを展開し、200人以上が参加してきました。現在は日本国内の団体へ派遣しています。


NPO法人クロスフィールズ

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2020年度リーダーズ・
キャリア・サミット TEX
(True EXperience)
オンライン In 南相馬

目的/効果

リーダーシップ育成、
受講者同士の相互研鑽

期 間

約4か月半

説 明

社会課題を通じて自分と他者にも向きあい、互いに学び合い・影響を及ぼし合う、相互研鑽プログラムです。本プログラムは、社会人だけでなく、学生や地域ビジョナリーリーダーと各々の立場や空間を超えて参画するため、価値観が広がる経験と成長の機会としていただきます。南相馬が直面している社会課題を自分事として捉え、オンライン関係人口として「あすびと福島」の新たな柱となりうるプロジェクトを立ち上げ、共創していきます。


株式会社ファーストキャリア

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2020年度リーダーズ・
キャリア・サミット TEX
(True EXperience)
オンライン In 釜石

目的/効果

リーダーシップ育成、
受講者同士の相互研鑽

期 間

約4か月半

説 明

社会課題を通じて自分と他者にも向きあい、互いに学び合い・影響を及ぼし合う、相互研鑽プログラムです。本プログラムは、社会人だけでなく、学生や地域ビジョナリーリーダーと各々の立場や空間を超えて参画するため、自らのキャリア開発や企業のイノベーション推進に還元していきます。釜石が直面している社会課題を自分事として捉え、オンライン関係人口として、現地法人や行政と共に新たな価値を創出していきます。


株式会社ファーストキャリア

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対象:係長 / 主任層
Field Academy

目的/効果

事業や社会への「当事者意識」を持った人材育成

期 間

3か月間(延べ8日程度)

説 明

慣れ親しんだ会社の外に飛び出して、リアルな社会課題にゼロから挑む、越境型・多業種合同型の人材育成プログラムです。
事務局であるリディラバは、日本全国で350種類以上の「課題の現場」をコーディネートし、企業・行政・学校・プレイヤーをまきこんだ課題解決モデルを推進する、社会課題の専門家集団です。社会課題という、前例も何もない「未踏」領域だからこそ、未知の問いに立ち向かい、多様な他者と目的を共有しながら見えない未来を自ら切り開く、次世代リーダーへの変革が巻き起こります。


株式会社Ridilover

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チェンジ・メイカー
育成プログラム

目的/効果

受講生同士のチームならびに個人での成長

期 間

3か月程度

説 明

バックグラウンドの異なる受講生複数名でチームを組み、東京でのセッション(オンライン含む)と首都圏外で設定された社会課題の現場でのフィールドワークを行うとともに、全体セッション外にチームごとで行う調査・検討を通して、課題設定と解決策提案を行なうプログラムです。
解決策提案というチームでのアウトプットとともに、プログラムを通じての行動変容をEQを用いて可視化することで、受講生の成長実感につなげています。


学校法人立命館東京キャンパス

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対象:経営幹部 / 部長層
社会課題体感
フィールドスタディ

目的/効果

社会起点マインド醸成
リーダーシップ育成

期 間

1日-1週間程度

説 明

国内外の社会課題の現場を「体感」するとともに、困難な課題に立ち向かうリーダーの活動と志から刺激を受ける数日間の管理職・経営層向けのプログラム。社会課題を体感するとともに、志高いリーダーとの対話を通じた深い内省を行い、社会や企業に対する鋭い感性と自分自身のぶれない軸を育んでいきます。昨今の状況を受け、オンラインを活用した対話型で社会課題に向き合うプログラムも現在は展開しています。


NPO法人クロスフィールズ

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対象:多様な年代
地方創生×SDGs
イノベーションプログラム
(事業創造型ワーケーション)

目的/効果

企業変革を担うリーダー人材の育成やイノベーションの創出

期 間

事前研修1日
フィールドワーク3日間×2回
事後研修1日

説 明

PBL(プロジェクトベースド・ラーニング:課題解決型学習)による次世代リーダー育成を目的にはじめ、地方創生・SDGsなどについて学ぶ研修プログラムや、地域企業・人材との交流を通じたオープンイノベーションプログラムなどを組み合わせて提供することで、企業の人材育成・事業創造を支援します。


株式会社パソナJOB HUB

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キャリアオーナーシップ
プログラム
(人材育成型ワーケーション)

目的/効果

キャリアオーナーシップの醸成

期 間

事前研修1日
フィールドワーク3日間
事後研修1日

説 明

地域の人・企業との交流を通して地域課題や社会課題に向き合い、自分のキャリアを振り返りながら、自らの今後のキャリアをオーナーシップを持って形成することを支援するキャリア研修プログラムです。参加者の95%がキャリア観が変化したと回答しており、高い効果を実証しています。


株式会社パソナJOB HUB

詳しく見る



有識者インタビュー

越境学習に関する有識者の方々のインタビューになります。

(詳細については「詳しく見る」ボタンよりご覧ください)



法政大学大学院 政策創造研究科

石山 恒貴 教授

詳細を見る


立教大学 経営学部

中原 淳 教授

詳細を見る

経済産業省主催

「ポストコロナ時代の企業人材育成とは?」
オンラインセミナー

【第1回】

イノベーション人材育成と
越境学習の可能性


youtube 第1回セミナー:アーカイブ動画

第1回報告書(PDF:574KB)

【第2回】

キャリア自律と
越境学習の可能性


youtube 第2回セミナー:アーカイブ動画

第2回報告書(PDF:588KB)

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